スタッフブログ

補聴器の相談に来店する方は、様々な希望や不安を抱えています。

今回ご紹介するのは集音器を使っていたものの良く聞こえないと当店を訪れた方が補聴器を購入に至った経緯を掲載します。参考にしていただけたら幸いです。

 

補聴器相談記録 事例.8 80代 女性 Mさんの場合

 

お耳の状況          

70代から聴力の低下を感じて耳鼻咽喉科へ通院した、医師から補聴器の使用を勧められたが補聴器は不要と思い使用せず。3年位前にいよいよ不便を感じて通販で耳掛け型の集音器を右耳に購入。

 相談内容

娘さんと一緒に来店し、集音器を使っているが話の内容が分からないというのが一番の悩みでした。大きな声を出さないと話が通じない今の状況に娘さんが疲れてしまい、当店のチラシを見て来店。集音器を付けていても普通の声量では会話が難しく、聞き返しが多い印象を受けました。 

初回の相談

『音の聞こえ方』を測定してみると60dB70dB位で聴力のグラフができました。30dBの音が聞えなくなると日常生活で不便が出てきますので、Mさんはかなり聞こえない音が多くなっています。次に『言葉の聞き取り』を測定すると右耳は80dB70%、左耳は90dB60%でした。

これは言葉の理解力を示しておりMさんのケースでは補聴器で音を大きくしても100%の聞き取りは難しい状態です。補聴器を使わずに30%位の聞き取りを補聴器の使用で60%~70%に上げるのが目標になりますと娘さんにも伝えます。

Mさんご本人に話を聞いてみると「集音器を使うから補聴器はいらない」「補聴器をつけてもそんなに聞こえない」「別に聞こえなくても、困ることはない」とかなり後ろ向きです。

娘さんは「集音器を使っても何を言っているか分かってないでしょ?」「普通に話ができないと私が困るの」と言ってくれるのですが、難しい顔をしています。

この会話も声を張り上げてなんとか通じている状態で、話をするために耳掛け型の補聴器をつけてもらいました。小さい機種は落とした時に探すのが大変だし使っている集音器の形の方が装用に慣れているということで、今回はBTEと言われる耳掛け型を両耳で貸出のお話をしていました。ここでMさんが一言「私、本当は耳に掛けるやつは嫌なの、大きくて目立つし、メガネやマスクをする時に引っかかって面倒なの」この言葉で耳掛け型ではなく、耳穴型での貸出に変更です。

小型のタイプと標準のタイプを見てもらい、小さい物は取扱いが難しいかもしれないということで、標準のカナルタイプを選択します。メーカーで作成してもらう必要がありますので、今日は耳型を採取して次回の予約を入れます。

2回目の相談

Mさんと娘さんが来店した際に耳型から作成したMさん用の耳穴型補聴器を聞こえの状態に合わせて調整します。今まで音が小さい状態に慣れているため、弱い調整でもうるさく感じてしまいます。右耳は集音器を使っていたためまだ良いのですが、左耳は長い間、音が小さいことが普通になってしまっているため、初心者用からさらに音を下げた調整にしています。左右の音に違いをつけて使えるぎりぎりの音量を探ります。これでなんとかお話ができるようになりました。

Mさんと娘さんには

  集音器を右耳片方で使っていたため、左耳から音が聞えるのに慣れるには時間が掛かること。

 ② 右耳も音が足りない状態が長かったため、最初は自分の声や水の音がうるさく感じること。

 ③ 補聴器を使っても聞こえが戻る訳ではなく、補聴器を通して音を聞く練習が必要なこと。

を最初にお話します。

耳への入れ方と電池の交換方法を確認して自分で管理できるように練習します。

最後に「これでも大きいと感じるかもしれませんが、音量は足りていません。初心者用からもっと下げた音です。まずは時間が短くてもいいので1週間毎日使ってください。」とお願いします。

 3回目の相談

今回も娘さんと一緒に来店してくれました。最初に毎日使えたか聞いてみると娘さんがちゃんと使っているか毎日確認するので、一日一度は耳に入れていたそうです。

補聴器の中の記録を見ると、一日平均で右耳は4時間24分、左耳は2時間7分となっていました。

左右で差があるものの、毎日使ってくれていた様子。「話は聞きやすくなりましたか?」と聞いてみるとMさんは「聞こえる感じもするけれど、自分の声も大きいしトイレの水を流す時にビックリした」と言います。ここで娘さんが「私は話ができるようになって驚いた。声を掛けたら返事が返ってくるようになった、このまま使って欲しい」と言ってくれます。

今は初心者用の音ですが、まだ音を上げるのは難しいと思い、このままの音量で貸出を延長します。次回までになるべく使用時間を延ばすようにお話して今日は終了です。

まだ、初心者用の設定から更に下げた調整になっています。今まで必要な音量が耳に届いていなかったため時間を掛けて徐々に上げていく方が負担は少ないと思います。

 4回目の相談

補聴器の記録を確認すると、前回の来店から一日平均で右耳は6時間24分、左耳は4時間41分と時間が延びています。ご本人はまだ左耳から音が聞えてくることに慣れていないようですが、左側の補聴器を外して右耳だけにするとやはり両耳の方が聞えると言ってくれます。

娘さんからは「集音器を使っている時と比べても、話が通じるようになっている。私はお母さんに補聴器を使って欲しい」と言ってくれます。

Mさんご本人も頑張って補聴器を使うと言ってくれるので、比較的慣れが早い右側片方にするか、慣れるための練習が必要になるが左側にも使い両耳での聞こえにするか、どちらが自分にとって良いと思うか確認すると「音が両耳から聞こえる方が聞きやすいので両耳にする」と言っていただけたので、今後も両耳で補聴器を使っていきます。

 最後に

今回のケースでは、試聴の段階では初心者用から更に音量を下げた調整でした。

そこから時間を掛けて、少しずつ音を上げています。周囲の音も自分の声も小さく聞こえるのが普通になってしまったMさんは必要な音量まで音を上げるのに苦労しています。

70代で最初に耳鼻咽喉科で勧められた時に補聴器を初めていればもっと早く、苦労も少なく聞こえの改善が進んだと思います。それから10年以上が経過してその当時よりも聞こえは下がっていると思われます。聴力が下がった分、より大きな音が必要になり、音が大きいと『うるさい!』と感じてしまうという難しい状況になってしまいます。

Mさんはまだ補聴器に慣れたとは言えない段階ですが、娘さんは「自宅で意思の疎通ができるようになってホッとした、呼ぶと返事が返ってくるのが新鮮」と言ってくます。今回、補聴器を使っていただくこととなりましたが、音の調整はまだまだ途中です。急に音量を上げると違和感が強く感じてしまうため、無理の掛からない範囲で少しずつ調整を進めています。