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補聴器の相談に来店する方は、様々な希望や不安を抱えています。

何に困っていて、どの様に補聴器の使用を決めたのかレポート形式にまとめてみました。

補聴器選びの参考にしていただけたらと思います。

 補聴器相談記録 事例.2 70代 男性 Kさんの場合 

 お耳の状況      

聞こえにくいと感じて随分経つ、過去に病院で補聴器を勧められたが購入せず通信販売で集音器を購入し右耳に使用。

音は大きくなるがよく聞こえないのであまり使っていない。

 

相談内容              

Kさんお一人で来店し「補聴器を買いたいと思う、どんなのがあるの?」と第一声でした。

お話を聞いてみると補聴器はお店に来て幾つかの中から選んで購入すると思っていた様子です。

まず、補聴器はそれぞれのお耳の状況に合わせて形状を選び、音を作る必要があることからお話をはじめました。

 初回の相談          

一番のお悩みはテレビを見ていても、音は聞こえるが何を言っているのか内容が入ってこないそうです。音を上げると奥様に音が大きすぎると言われてしまう、購入した集音器を使ってもあまり状況が変わらないそうです。

まずは聴力の測定と言葉の聞き取りのテストを実施してみます。両耳とも聴力が低下していますが左耳の方がより聞こえにくくなっています。ただ、125Hz500Hzの周波数が低い音は比較的よく聞こえています、この場合、低音域はあまり音を上げず、高音域は強めにする調整が必要です。

加えて言葉の聞き取りについても少し低下しているようで、テレビの内容が解らない一因となっていると思われます。

RICタイプ(小型耳掛け型)を初心者用の設定で両耳に試聴、高音域をしっかり入れるとキンキンと感じるこえる可能性を考慮して高音域は目標よりもかなり弱めで調整しています。

それでも自分の声が大きいとおっしゃるので更に音を下げて微調整をしていきます。

今、試聴している補聴器のお値段をお話すると「集音器と比べると思っていたより高いね」と一言。まずは補聴器が生活の中で使えるのか、役に立つのか確認してもらうため2週間の貸出をしますが、随分と弱い調整になっていますので、1週間後に再調整の予約を入れて本日は終了です。

 

2回目の相談       

「前回は弱めの音でのスタートですが如何でしたか?」との問いに今までよりも会話やテレビの内容は解るようになったが、食器が当たる音や新聞がパリパリいう感じが耳障りなようです。

使用時間は一日平均で約3時間、今まで聞こえなかった音が急に聞こえてきて煩わしい段階だと思われるので、「聞こえる事に慣れるためにもう少し時間を増やしてみましょう。」とお願いして高音域を少し下げることで気になる音を減らし、さらに1週間の貸出を行います。

 

3回目の相談

補聴器の記録を確認すると、1日平均で約5時間の使用状況です。

初回より時間が伸びてきました、補聴器の音に慣れてきたそうです。自分の声も以前ほど煩わしく感じなくなってきた様子なので、今回は聞こえる音を増やすために一段、音を上げてみましょうと提案しました。

そこで、Kさんからもう少し安い機種だと聞こえは随分と下がるだろうか?とご質問がありました。

テレビの視聴や部屋での会話の改善が目的ならばそれほど困ることは無いと思います、価格で一番差がでるのは音が多い環境での聞こえです。と返答すると外出の機会はあまり多くないということで、今日は価格帯を下げた補聴器で貸出を行うことにします。電池交換の練習をしっかり行い、今日は今までよりも音量を上げた設定で2週間の貸出延長です。

 

 

4回目の相談

前回貸出を行った音を上げた調整で今まで以上に聞こえの改善を感じていただけました。

補聴器を付けていないと奥様から「付けないと聞こえてないよ」と言われると苦笑いしながら教えて下さいました。奥様からも購入を勧められ今日は色を選び成約となりました。

ここからKさんの補聴器を用意しますので納品の日程を決め、それまでは貸出中の補聴器を使っていただきます。

 

5回目の相談

Kさん用の補聴器の納品です、補聴器のお手入れの仕方、電池交換、耳への装用、保証について等々順番に確認し納品完了。最後に今の時点での補聴器の効果を測定します、Kさんは十分に聞こえているとおっしゃいますが、測定の結果から今後時間を掛けてもう少し音を大きくし、小さな音も聞こえる様にしましょうと目標設定を行っています。焦らずに補聴器の効果を上げていきたいと思います。

 

最後に

Kさんの場合は以前に購入した集音器と比べると、補聴器は高額に感じたと思います。聞こえの状態と本人の希望を聞きながら繰り返し行う調整に「集音器とは全くの別物だよね…もっと簡単に考えていた、ここまでしないと聞こえないよね」とおっしゃっていました。

補聴器は耳に合わせて調整を繰り返して使います、将来的に聴力が下がった時には下がった場所の音を上げる調整を行って聞こえの効果を維持します。家電のように購入したらそれで終わりではなく購入してからも調整や点検に来店してください。